「便利だから」と使うのは危険?セルフレジで硬貨を大量投入する前に知るべき注意点

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

スーパーやコンビニで広がるセルフレジ。自分のペースで会計ができる便利な仕組みですが、最近「小銭を減らしたい」という理由で両替機のように使う人が増えています。
しかし、セルフレジはそのような利用を想定していません。硬貨を大量投入すると機械トラブルや行列の原因となり、他の利用者への迷惑行為になってしまうこともあります。
この記事では、硬貨の使用に関する法律のルールや正しい使い方、そして代替方法を具体的に紹介します。

セルフレジを両替代わりに使う人が増えている現状

セルフレジは人手不足を補い、会計のスピードを上げるために導入が進んでいます。
しかし、「財布を軽くしたい」「銀行の両替手数料を節約したい」という理由で、数十枚の硬貨をまとめて入れる利用者が増えています。

特にシニア層では、手元の硬貨を使い切ることに安心感を覚える人も多く、「便利で助かる」と感じる傾向があります。
しかし、セルフレジは高速処理を目的に作られているため、大量の硬貨投入はシステムの想定外。機械に負担がかかり、結果的に他の利用者に迷惑をかける行為となってしまうのです。


なぜセルフレジでの大量硬貨投入が迷惑とされるのか

セルフレジは便利ですが、限界を超えた使用はトラブルの原因になります。
以下の表は、現場でよく起こる問題とその影響をまとめたものです。

発生するトラブル店舗・利用者への影響
硬貨の詰まり機械が停止し、再起動に時間がかかる
読み取りミスセンサーが誤作動し、支払いが完了しない
行列の発生後方の利用者が長時間待たされる
店舗対応の増加店員が呼び出され、作業効率が落ちる

一人の行動が店舗全体の運営に影響を与えることもあります。
「少しぐらい大丈夫」ではなく、「みんなが快適に使える配慮」が大切です。


法律で定められた硬貨の使用ルールを確認

「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」によって、硬貨の使用には明確な上限が設けられています。
その内容をわかりやすくまとめると次の通りです。

項目内容
使用可能な硬貨の上限一度の支払いで20枚まで
超過した場合の扱い相手側(店舗)は受け取りを拒否できる
対象すべての硬貨(1円、5円、10円、50円、100円、500円)
法的根拠通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条

つまり、21枚以上の硬貨での支払いは、店舗が受け取らなくても問題ありません。
このルールを知らずに「両替目的」で使うと、法律上もマナー上も不適切な行為になってしまいます。


正しい使い方とマナーを身につける

セルフレジは、利用者一人ひとりのマナーによって成り立っています。
「早く」「簡単に」「誰でも気持ちよく」という本来の目的を守るためには、以下のような意識が欠かせません。

ポイント具体的な行動例
枚数を抑える小銭は10枚以内を目安に使う
状況を見て判断行列がある時は電子マネーや紙幣を優先
目的を明確に両替ではなく買い物のために使用する
家族でサポート高齢の家族が使う際は手伝う

少しの配慮が大きな快適さにつながります。
また、店舗の案内表示をしっかり確認し、利用ルールを守ることが基本です。


店舗が困る「セルフレジ両替」の実態と対策

現場の店員からは「硬貨が詰まって止まる」「清算に時間がかかる」などの声が多く聞かれます。
セルフレジは効率化のために導入されていますが、硬貨トラブルが増えることで逆に人手が必要になるという矛盾が生じています。

店舗では、以下のような対策が進んでいます。

対策内容目的
硬貨投入制限を設定機械の詰まりを防ぐ
キャッシュレス専用レジ導入利用を分け、効率化を図る
利用者への注意喚起トラブルを未然に防ぐ
スタッフの巡回強化機械停止への早期対応

こうした取り組みは、店舗だけでなく利用者の快適さを守るためのものでもあります。
「お互いが気持ちよく使える環境づくり」こそがセルフレジの理想といえるでしょう。


小銭を整理したいときの代替方法

小銭を減らすには、セルフレジ以外にもさまざまな方法があります。
以下の表に、主な方法とメリット・注意点をまとめました。

方法利点注意点
銀行の入金機を利用口座に直接入金できる手数料が発生する場合がある
郵便局で貯金全国どこでも対応可能混雑時は時間がかかる
自販機を利用少しずつ小銭を使える無駄な買い物になりやすい
電子マネーへのチャージキャッシュレス化できる対応機器が限られる
小銭募金を活用社会貢献しながら処分できるすぐに財布が軽くなるわけではない

特におすすめは、硬貨入金対応のATM
メガバンクだけでなく地方銀行でも対応が進み、気軽に利用できます。
少しの手数料を支払っても、周囲に迷惑をかけずに済む安心感があります。


セルフレジを快適に使うためにできること

便利なシステムを長く維持するには、利用者の意識が欠かせません。
「自分だけなら大丈夫」という小さな油断が、全体の混乱につながることもあります。

例えば、混雑時には電子マネーやクレジットカードを活用することで会計がスムーズになります。
また、店舗ごとのルールを尊重する姿勢が求められます。ある店では現金不可、別の店では硬貨制限付きなど、仕組みが異なるため注意が必要です。

セルフレジは単なる機械ではなく、「人と人が協力して利用する仕組み」です。
マナーと理解があってこそ、誰もが気持ちよく買い物できる環境が保たれます。


まとめ

セルフレジを両替機代わりに使う行為は、一見便利でも店舗運営を妨げる原因になります。
法律では硬貨20枚までの制限があり、それを超える支払いは店舗が拒否できます。
「小銭を減らしたい」場合は、銀行の入金機や電子マネーの活用が現実的な解決策です。

セルフレジの本来の目的は、スピードと利便性を両立させること
そのためには、一人ひとりの思いやりとルールの理解が欠かせません。
今日から少しだけ使い方を見直すことで、店舗も利用者も気持ちよく買い物ができる社会に近づきます。

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