不動産担保ローンはいくら借りられる?限度額の目安と計算方法をわかりやすく解説

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

不動産担保ローンは、不動産を担保にすることで高額資金の借入が可能となる金融手段です。しかし、実際に「いくら借りられるのか?」は物件の評価や個人の信用状況によって異なります。本記事では、評価額の目安、融資掛目(LTV)、審査基準などを詳しく解説し、シミュレーション方法もご紹介します。

不動産担保ローンとは何か

不動産担保ローンは、不動産という資産を担保に設定することで、まとまった金額を借り入れる金融サービスのひとつです。このローンの最大の特長は、担保の価値によって高額な融資が可能となる点にあります。自宅、投資用物件、空き地など、多様な不動産が対象になります。借入にあたり使途は比較的自由で、事業資金、借換資金、教育費や医療費、リフォーム費用など幅広い用途に対応しています。

無担保の個人ローンと比較すると、金利が低く設定されている場合が多く、返済期間も長めに設計されることが一般的です。ただし、支払いが滞った場合には担保物件を失うリスクもあるため、借入計画をしっかり立てることが求められます。


借入額はどう決まるのか?

実際に借りられる金額は、担保とする不動産の「評価額」に加えて、金融機関が定める「融資掛目(LTV)」によって左右されます。LTVとは、Loan to Valueの略で、不動産評価額に対する融資額の割合を示します。以下に一般的な事例を示します。

評価額(万円)LTV目安(70%)借入可能額(万円)
2,00070%1,400
3,50070%2,450
5,00070%3,500
7,00070%4,900

担保評価は、公示価格や路線価、取引事例などを基に金融機関独自の基準で行われます。特に地方や過疎地域の物件、築年数の経過した建物などは評価が下がる傾向にあります。


不動産担保バナー

審査で重視される要素とは

融資の可否は担保物件の価値だけではなく、申込者の信用力にも大きく依存します。年収、勤務先の安定性、職種、雇用形態、過去の信用情報、既存の債務状況など多岐にわたる審査項目があります。たとえば、年収が多くても既存借入が多いと借入額は制限される可能性があります。

審査時には返済比率も評価されます。以下のように年収に対する年間返済額の目安が設定されます。

年収(万円)安全な返済比率(30%)年間返済額上限(万円)
40030%120
60030%180
80030%240

信用情報に過去の延滞や金融事故がある場合は、審査に通過しにくくなります。このため、申し込み前に信用情報の確認を行うことも一つの準備です。


金融機関による違いと選び方

金融機関ごとに提供される不動産担保ローンの特徴は異なります。大手銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなど、それぞれの特性を理解することが大切です。

金融機関金利(目安)審査スピード柔軟な対応融資限度額の傾向
メガバンク1.5〜3.0%中程度標準高額可能
地方銀行2.0〜4.0%普通やや柔軟中〜高額
信用金庫2.5〜5.0%普通高い中額程度
ノンバンク3.5〜9.0%速い非常に柔軟少額から対応可能

審査スピードや対応姿勢を重視するのであればノンバンクが適していますが、金利は高くなるため、費用対効果をしっかり見極める必要があります。


借入可能額を知るには?

具体的な借入可能額を把握するためには、オンライン上の「ローンシミュレーター」が便利です。物件の所在地、評価額、年収、希望金額を入力するだけで目安がわかります。

しかし、最終的な借入額は金融機関が行う「不動産評価」と「個人審査」によって決定されます。正確な数字を知りたい場合は、以下のような手順が有効です。

方法内容精度費用
ウェブシミュレーター手軽に借入額を推測可能無料
不動産鑑定士評価法的・客観的な担保評価が得られる数万円
金融機関の事前審査本審査前に概算の借入額を把握可能無料または少額

複数の情報源を活用して、精度の高い資金計画を立てましょう。


よくある質問とその回答

Q1. 親の不動産でも担保に使える?
A. 所有者の同意があれば可能です。親子間であっても名義が異なるため、登記の際に連帯保証や担保提供の同意書が必要になります。

Q2. 評価額が高いのに希望額に届かないのはなぜ?
A. 信用情報や収支状況、既存債務の影響によって借入上限が抑えられるケースがあります。

Q3. 借入後に物件を売却できるか?
A. 原則として、ローンを全額返済すれば売却可能です。売却資金で返済する場合は、金融機関の同意が必要です。


まとめ

不動産担保ローンは、計画的に活用することで大きな資金ニーズにも対応できる有力な手段です。しかしながら、借入額は不動産評価だけでは決まらず、個人の信用力や金融機関の審査方針が大きく影響します。信頼できる情報源を活用し、複数の金融機関と相談することで、自身に最も適した条件で借入を実現しましょう。シミュレーターの活用や事前審査を通じた事前準備も重要です。

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