不動産担保ローンは実際のところいくら借りれるのか?目安や計算方法をわかりやすく紹介

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

不動産担保ローンでは、保有している不動産を担保に設定することで、通常のローンよりも高額な融資を低金利で受けられます。この記事では、借入可能額がどのように決まるのか、評価額や審査基準を踏まえて解説し、申込前に押さえておくべき注意点も紹介します。

不動産担保ローンとは

不動産担保ローンとは、自身が所有する不動産を担保として提供することで、金融機関から融資を受ける仕組みのローンです。住宅や土地、投資用マンションなどが主な担保対象であり、担保としての価値が認められれば、無担保ローンと比較して大きな金額を、より低金利で借り入れることができます。

このローンは、事業資金や教育資金、相続税の納付、既存借入の一本化など、幅広い資金ニーズに対応しています。加えて、借入額や返済期間も柔軟に設計できるため、資産を有効活用した資金調達手段として注目されています。ただし、担保を設定する以上、万が一返済が滞った場合には不動産が競売にかけられるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

無担保ローンとの主な違いを以下の表にまとめました。

比較項目不動産担保ローン無担保ローン
担保不動産が必要不要
金利2〜8%程度10〜18%前後
借入上限額数百万円〜数千万円数十万〜500万円程度
返済期間最大30年程度一般的に5年以下
審査基準不動産評価と信用情報信用情報のみ

借りられる金額の目安

借入可能額は「不動産の評価額」と「返済能力」によって決まります。不動産の評価は、立地・築年数・面積・市場動向などを考慮し、金融機関が独自に行います。その上で、評価額の50〜80%が上限とされることが多く、あくまで評価額であって売却価格ではない点に注意が必要です。

以下に、代表的な評価額別の借入上限額の目安を示します。

不動産評価額借入可能額(50〜80%)
2000万円1000万円〜1600万円
3000万円1500万円〜2400万円
5000万円2500万円〜4000万円

加えて、申込者の年収や他の借入状況、勤続年数などの「属性」も融資額に大きく関与します。たとえば、年収600万円で借入可能な返済比率が年収の35%以内とされる場合、年間返済額の上限は210万円となります。これを元に借入額が逆算されるため、評価額が高くても借入希望者の属性が基準に満たない場合は希望額を下回ることがあります。


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審査で見られる項目と通過ポイント

審査は「担保評価」「申込者の返済能力」「信用情報」の三本柱で構成されます。担保となる物件の評価が高くても、返済能力に不安があれば希望通りの融資は難しくなります。主な審査ポイントは以下の通りです。

審査項目内容
担保評価物件の立地、築年数、広さ、流動性
年収・職業安定性のある会社員、公務員などは優遇
勤続年数一般的に3年以上が望ましい
他社借入他ローンやクレジット残高が多いと不利
信用情報過去の延滞、債務整理歴があれば審査に影響

審査をスムーズに進めるためには、収入証明書類、登記簿謄本、固定資産税評価証明書などを事前に準備し、借入希望額を現実的な水準に設定することが重要です。


不動産担保ローンのメリットと注意点

最大の利点は「大きな金額を長期で低金利に借りられること」です。返済計画にゆとりを持たせたい場合には最適な選択肢です。例えば、事業拡大資金や子どもの学費、相続税の一括納付など、大きな資金需要に対応しやすい特徴があります。

一方で、「担保を失うリスク」は大きな懸念材料です。万が一返済が滞れば、担保となっている不動産は競売の対象となり、生活基盤を失う恐れもあります。以下にメリット・デメリットを整理します。

観点内容
メリット高額融資、低金利、長期返済、資金使途の自由度が高い
デメリット担保設定、返済不能時の競売リスク、手続きの煩雑さ

したがって、ローンの利用には十分な返済計画と事前準備が不可欠です。


借入までの流れと必要書類

申込から融資実行までは、金融機関によって異なるものの、おおよそ以下のような流れをたどります。

  1. 事前相談・仮申込
  2. 不動産評価と本人審査
  3. 本申込・契約書類の提出
  4. 融資契約・登記手続き
  5. 融資実行

準備すべき書類例:

書類名備考
本人確認書類運転免許証・マイナンバー等
所得証明書源泉徴収票、確定申告書など
登記簿謄本担保不動産の詳細情報
固定資産評価証明書地方自治体で取得可能

契約手続きには時間がかかるため、スケジュールには余裕を持って取り組むことが大切です。


他ローンとの比較と活用の判断

用途に応じて最適なローン形態は異なります。不動産担保ローンは、返済期間・金利・借入額の観点から長期的な資金調達向けであり、無担保ローンや住宅ローンと比較しても大きな違いがあります。

比較項目不動産担保ローン無担保ローン住宅ローン
金利2〜8%10〜18%1〜3%
借入限度額数千万円数百万円物件購入価格相当
返済期間1〜30年〜5年〜35年
用途制限ほぼなしなし住宅購入に限定

短期間で少額を借りたい場合には無担保ローン、住宅取得目的なら住宅ローン、高額の多用途資金が必要なら不動産担保ローンが適しています。


まとめ

不動産担保ローンは、大きな資金を低金利で長期間にわたって借り入れられる魅力的な選択肢です。借入額は不動産の評価額と申込者の返済能力で左右されるため、十分な事前準備と計画性が必要です。担保提供に伴うリスクもありますが、適切に運用すれば、個人・事業問わず幅広いニーズに応える資金調達手段となります。利用を検討する際は、各金融機関の特徴を比較し、自分に最適な条件を見極めることが成功のポイントです。

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