不動産担保ローンの審査に通らない場合の理由とは?信用情報や年収、担保評価の落とし穴について解説

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

不動産担保ローンは高額な資金を借りられる便利な手段ですが、審査に落ちる人も少なくありません。なぜ落ちるのか?その理由が分からなければ、次の申込みも同じ結果になりかねません。本記事では、不動産担保ローンの審査に通らない主な原因を明らかにし、通過するための具体的な対策を紹介します。

不動産担保ローンの審査とは何か?

不動産担保ローンとは、不動産を担保にすることで融資を受ける仕組みのローンです。無担保ローンと比べて借入限度額が大きく、金利も低めに設定されるのが特徴です。しかし、その分審査も厳しく、複数の項目で評価されます。評価項目は主に以下のとおりです。

審査項目内容
年収安定性、金額、勤務先の信用力など
職業公務員、会社員、自営業など職種別の評価
信用情報延滞、債務整理、自己破産の有無
担保物件の評価築年数、立地、登記状態、市場流通性
書類の正確性身分証、収入証明、登記情報の正確性

不動産担保ローンの審査は、返済能力と担保評価のバランスによって可否が決定されるため、いずれか一方に不備があると審査に通らないことがあります。


信用情報が原因で審査に落ちるケース

信用情報は、ローンやクレジットカードの利用履歴を金融機関が確認するために使用されるデータです。これに問題があると審査は非常に厳しくなります。以下のような履歴があれば注意が必要です。

問題となる信用履歴内容
延滞履歴61日以上または3か月以上の滞納
債務整理歴任意整理、個人再生、自己破産など
多重申込み短期間で複数の金融機関に申込み
携帯分割支払いの遅延通信費の支払い遅延も信用情報に記録

これらはCICやJICCといった信用情報機関で管理され、自己開示も可能です。ローンを申請する前に自分の情報を確認しておくことで、不利な状況を事前に察知し対処できます。


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年収や返済比率がネックになるケース

年収が一定水準に満たない、あるいは借入額が年収に対して過大であると、返済能力に疑問が生じ審査に落ちる可能性があります。ここでは年収ごとの適正な返済額の目安を示します。

年収(目安)年間返済額(上限)月額返済の目安
300万円90万円約75,000円
500万円150万円約125,000円
700万円210万円約175,000円

返済比率は一般に30〜35%以内が望ましいとされます。また、既存の借入(自動車ローン、教育ローンなど)がある場合、これも返済負担として計算に含まれるため注意が必要です。


担保不動産の価値が低評価となるケース

担保に出す不動産自体が審査で不利になることもあります。価値が低いと判断されれば、返済能力に問題がなくてもローンの実行は難しくなります。

評価が下がる理由説明
築年数が古い建物の寿命が短く市場価値が下がる
再建築不可物件建て替えできず資産価値が低い
接道義務を満たさない建築基準法上の問題で評価減少
所在地が過疎地流通性に乏しく売却が困難
権利関係が不明瞭相続未登記や共有状態でリスク高

このような状況を避けるためには、登記の整備や他の担保物件の検討、複数物件を一括で担保に設定するなどの工夫が求められます。


審査に落ちたときの具体的対処法

審査に落ちた場合も、慌てずに冷静な対応が重要です。以下のようなステップを踏むことで、再申請に備えることができます。

  1. 原因を特定する(信用情報、年収、担保評価など)
  2. 信用情報の開示請求を行う
  3. 借入額を見直し、不要なローンを返済
  4. 別の担保物件の用意を検討
  5. 金融機関を変えて再チャレンジ
  6. 専門家(FPやローンアドバイザー)に相談する

特に申し込み履歴が信用情報に残る点は見落としがちです。3社以上に短期間で申し込むと、多重申し込みと見なされ、以後の審査が不利になる場合があります。


審査を通過するための準備と改善ポイント

審査をスムーズに通過するためには、事前の準備が不可欠です。以下のようなチェックポイントを踏まえて申請に臨むことで、通過率を大きく向上させることが可能です。

対策内容詳細
書類の正確性身分証、収入証明、登記謄本の準備
信用情報の確認CIC・JICCなどで情報を自己開示する
借入金の整理小口のローンは完済してから申し込む
仮審査の活用申込み前に条件を事前に確認できる
担保評価の相談不動産業者に物件の再評価を依頼
専門家への相談ファイナンシャルプランナー等に相談する

また、金融機関によって審査基準が異なるため、都市銀行だけでなく、信用金庫やノンバンク系の選択肢も柔軟に検討すべきです。


まとめ

不動産担保ローンの審査に落ちる理由は、大きく分けて信用情報、返済能力、担保評価の3点に集約されます。それぞれの項目に対して事前に確認・対処することで、再申請時の通過率を上げることが可能です。また、専門家の力を借りたり、仮審査を利用するなどして、無駄な審査落ちを避けることが、資金調達の成功への近道です。

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